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« 【雑談】文章の書き方、作り方の手法が垣間見えた | トップページ | 大和証券開催の個人投資家向け企業説明会報告(2005.5.21.) »

2005.05.21

玉屋の椿

越後の鯨波という町に、働き者の玉屋の徳兵衛という人がいた。彼は一生懸命働き、20年も経つと周囲では有名な長者様になった。きれいな嫁さんももらい男の子も生まれ、不自由ない生活を過ごしていた。

だが生活が安定し財産が増えれば増えるほど、徳兵衛の顔色は悪くなっていく。彼は極度の心配性で、自分の財産が誰かに盗まれないかと気がかりで仕方がない。ちょっとした不安で目が覚めて、いくつもある自分の蔵を見て回り、安心するかと思うとまたもう一巡。睡眠不足もはなはだしく、しまいにはやせ細ってしまった。

「蔵に財産を収めるからいけない。どこかに埋めれば泥棒も分からないだろう」と妙案を思いついた徳兵衛は、裏庭の竹やぶに植えてあった椿の根元に自分の財産を埋めてしまう。

心配事が無くなった徳兵衛。今度は肩の荷がおりたせいか、魂が抜けたように腑抜け状態。医者にすすめられて温泉へ湯治にいき、ようやく気が休らんできたかと思ったその時、自分の財産を埋めた場所を語る歌が耳に入り、慌てて店に戻る。

店に戻った徳兵衛の目に映ったのは、歌の通りに銀の葉をしげらせて金の花を咲かせた椿の姿。「椿が私の財産を吸い取ってしまった!」びっくりするあまり、彼は気を失ってしまう。

徳兵衛は結局そのまま病のために床につき、そして死んでしまった。彼は死ぬ前に嫁へ椿の下に植えた財産の事を話し、嫁は彼の言い残した通りに椿の根元を掘ってみたが何も出てはこなかった。嫁は「財産のことをうわごとにまで」と徳兵衛のことを哀れんだそうな。そして椿は元の色に戻っていた。

今では徳兵衛の店、玉屋は海の底。その玉屋があった周囲の波は、黄金色に輝いているという噂がある。

おしまい。

【補助解説】
話の舞台の鯨波という町は現在でも新潟県の日本海に面したところに存在する。地名の由来は鯨の産地だったということかららしい。

【何を学ぶか】
「一生懸命汗水流して働けば財産と伴侶も得られ幸せな生活を過ごせる」というありきたりな長者モノの話とはちょっとニュアンスの違うこの物語。幾ら努力の末に得た結果であっても、「欲に眩んだ金の亡者になっては身を滅ぼしてしまうことになる」、言い換えれば「金は手段であり目標ではない。また、それに振り回されては元も子もない」という戒めだろうか。徳兵衛が湯治先で聞いた歌も、単なる幻聴だったのかもしれない。そう考えれば、彼はそこまで気を病んでいたことになる。

蔵に財産を置くことで泥棒に盗られるのでは、という徳兵衛の発想からは「他人が分かるような場所に大切なものを隠すのは愚の骨頂」という教訓を得ることが出来る。この点では徳兵衛のセンスを垣間見ることができよう。もっとも、自分の財産をすべて一箇所に埋めて結局それを失ってしまうあたりからは、「ザルに盛った卵」のたとえ話でよく語られる、「リスク分散の大切さ」を教えてくれる。

実のところ、大多数の人にしてみれば、まずは徳兵衛のような悩みを持つくらいの財産を手に入れたい、と思うことが先だろう(苦笑)。

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