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2005.07.23

猿地蔵

むかしある山に、乱暴ものの猿の集団が住んでいた。彼らは収穫の秋になると里に降りてきては田や畑を荒らしまわり、出来た収穫物を奪っていった。

その里の入り口にはじいさまとばあさまの家があり、当然のことながらその家の田畑もいつものように狙われていた。じいさまが猿たちの狼藉を見つけて怒鳴ると、さっと猿たちは逃げてしまう。

猿たちのいたずらに困り果てたじいさまとばあさまは、猿たちがお地蔵様の前ではおとなしいという話を思い出した。「じいさまや、お地蔵さんに化けてはどう?」

バチが当るかもと心配するじいさまに、ばあさまは「畑の作物を守るため」と説き伏せる。じいさまは体中に粉をまぶして赤いよだれかけをつけ、お地蔵様になりすます。

次の日、お地蔵様になりすましたじいさまが畑で待っていると、いつものごとく猿たちが。そしてじいさまの姿を見てびっくり。「こんな立派なお地蔵様、お山のお堂で飾るべきだ」ボス猿の命令で猿たちは、お地蔵様に化けたじいさまをかつぎ、山まで連れていった。途中笑いかけたりもして何度も正体がばれそうになったが、じいさまは我慢、我慢。

お地蔵様になったじいさまは、猿たちの手でお山のお堂に運ばれた。足元には途中の川で傾かないようにとあてがわれた千両箱二つ、そして目の前にはお供えもの。ボス猿はお地蔵様のじいさまに拝んでから、手下の猿らと共に畑をあらしに出かけていった。

じいさまは「お祈りしてくれたのはいいけど、また畑をあらしにいったのか」と苦笑したりがっかりしたり。そして足元にある千両箱を抱え、ばあさまの待つ家へ帰っていった。

家に帰ったじいさまが、ばあさまと一緒に千両箱の中身を開けてびっくりしていると、隣の家のばあさまがやってきて当人ら以上にびっくり。そこでじいさま、事の顛末を説明。

隣のばあさま、その話を聞くや自分の家に帰り、自分のよくばりなじいさまに話をする。そして「おらたちも真似してお宝がっぽりになるべ」とばかり、お地蔵様へ化けさせた。「これでおらたちも千両箱をどっさりじゃ」「そうじゃそうじゃ」。

翌日、お地蔵様に化けたよくばりじいさんが畑で待っていると、案の定猿たちが現れた。「いなくなったお地蔵様がいるぞ」「早くお山のお堂へお連れしろ」昨日と同じように猿たちはお地蔵様に化けたよくばりじいさんを連れて行く。

川に差し掛かるとよくばりじいさんわざと身体を傾ける。「早く千両箱で支えろ」猿たちは千両箱を二つ持ってきて支えるも、よくばりじいさんは満足せずに、さらにわざとバランスを崩す。「もっと、もっと千両箱を持ってこい」よくばりじいさんの身体は千両箱に囲まれてしまった。「しめしめ」大喜びのよくばりじいさん。

そして猿たちは景気付けに歌いだす。ところがこの歌があまりにも面白くてよくばりじいさんはついつい笑い出してしまった。「なんだ、変だぞ?」猿たちは不思議がり、よくばりじいさんの鼻をやつでの葉でくすぐった。これにはたまらず笑い出すよくばりじいさん。

「あ、こいつ人間だ」「昨日、千両箱持っていったのもお前だな」「昨日の分までやっちまえ!」かくしてよくばりじいさん、猿たちによってたかって引っかかれ、さらに川の中に放り出されてしまう。

千両箱の、もといよくばりじいさんの帰りを待っていたよくばりなばあさまの目の前に現れたのは、千両箱を土産にかかえたじいさまではなく、傷だらけでずぶ濡れになり、へとへとになったよくばりじいさんだった。よくばりばあさんはそれを見て、心配するどころか千両箱が無かったことにとてもがっかりしたそうな。


おしまい。

【補助解説】
東北地方の昔話で、昔話によくあるがちな「隣のおじいさん」のパターン。あるおじいさんが福をさずかると隣のよくばりじいさんが真似をして欲をはり、福どころか失敗をしでかしてしまう。ところで、何で猿たちはお地蔵様には弱かったんだろうか。

【何を学ぶか】
信心深さ云々はともかくとして。ここはひとえに「人の儲け話に相乗りして欲張ると大きなしっぺ返しをくらうことがある」に尽きるだろう。人の儲け話は単純に「儲けた」という部分だけが誇張され、苦労したこととか挫折しかけた点はあまり語られない。そのまま信じて真似をするとつまづくことになる。

よくばりじいさんも、最初のじいさまの話を良く聞いて「猿たちに絶対正体を見破られてはならない」という点をしっかり頭に叩き込んでいれば笑ってしまうこともなかっただろう。

また、その前に欲張らずに千両箱二つのところでわざと傾くことをしなければ、予想外の成功(山盛りの千両箱に囲まれる)に浮かれることもなかったはずだ。つい笑ってしまったのも、この大成功に気がゆるんだせいかもしれない。そういう点では「利益を確定するまでは見通しが良くても決して気を抜いてはならない」という言葉も当てはまるかもしれない。

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